第二編 会計帳簿 第二章 資産及び負債 第一節 資産及び負債の評価

会社計算規則 第二編 会計帳簿

第二章 資産及び負債

 第一節 資産及び負債の評価

  第一款 通則

(資産の評価)

第五条  資産については、この省令又は法以外の法令に別段の定めがある場合を除き、会計帳簿にその取得価額を付さなければならない。

2  償却すべき資産については、事業年度の末日(事業年度の末日以外の日において評価すべき場合にあっては、その日。以下この編において同じ。)において、相当の償却をしなければならない。

3  次の各号に掲げる資産については、事業年度の末日において当該各号に定める価格を付すべき場合には、当該各号に定める価格を付さなければならない。

一  事業年度の末日における時価がその時の取得原価より著しく低い資産(当該資産の時価がその時の取得原価まで回復すると認められるものを除く。) 事業年度の末日における時価
二  事業年度の末日において予測することができない減損が生じた資産又は減損損失を認識すべき資産 その時の取得原価から相当の減額をした額

4  取立不能のおそれのある債権については、事業年度の末日においてその時に取り立てることができないと見込まれる額を控除しなければならない。

5  債権については、その取得価額が債権金額と異なる場合その他相当の理由がある場合には、適正な価格を付すことができる。

6  次に掲げる資産については、事業年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことができる。

一  事業年度の末日における時価がその時の取得原価より低い資産
二  市場価格のある資産(子会社及び関連会社の株式並びに満期保有目的の債券を除く。)
三  前二号に掲げる資産のほか、事業年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことが適当な資産

(負債の評価)

第六条  負債については、この省令又は法以外の法令に別段の定めがある場合を除き、会計帳簿に債務額を付さなければならない。

2  次に掲げる負債については、事業年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことができる。

一  次に掲げるもののほか将来の費用又は損失(収益の控除を含む。以下この号において同じ。)の発生に備えて、その合理的な見積額のうち当該事業年度の負担に属する金額を費用又は損失として繰り入れることにより計上すべき引当金(株主に対して役務を提供する場合において計上すべき引当金を含む。)
イ 退職給付引当金(使用人が退職した後に当該使用人に退職一時金、退職年金その他これらに類する財産の支給をする場合における事業年度の末日において繰り入れるべき引当金をいう。)
ロ 返品調整引当金(常時、販売する棚卸資産につき、当該販売の際の価額による買戻しに係る特約を結んでいる場合における事業年度の末日において繰り入れるべき引当金をいう。)

二  払込みを受けた金額が債務額と異なる社債

三  前二号に掲げる負債のほか、事業年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことが適当な負債

  第二款 組織変更等の際の資産及び負債の評価

(組織変更の際の資産及び負債の評価替えの禁止)

第七条  会社が組織変更をする場合には、当該組織変更をすることを理由にその有する資産及び負債の帳簿価額を変更することはできない。

(組織再編行為の際の資産及び負債の評価)

第八条  次の各号に掲げる会社は、吸収型再編対象財産の全部の取得原価を吸収型再編対価の時価その他当該吸収型再編対象財産の時価を適切に算定する方法をもって測定することとすべき場合を除き、吸収型再編対象財産には、当該各号に定める会社における当該吸収型再編の直前の帳簿価額を付さなければならない。
一  吸収合併存続会社 吸収合併消滅会社
二  吸収分割承継会社 吸収分割会社

2  前項の規定は、新設合併及び新設分割の場合について準用する。

(持分会社の出資請求権)

第九条  持分会社が組織変更をする場合において、当該持分会社が当該組織変更の直前に持分会社が社員に対して出資の履行をすべきことを請求する権利に係る債権を資産として計上しているときは、当該組織変更の直前に、当該持分会社は、当該債権を資産として計上しないものと定めたものとみなす。

2  前項の規定は、社員に対して出資の履行をすべきことを請求する権利に係る債権を資産として計上している持分会社が吸収合併消滅会社又は新設合併消滅会社となる場合について準用する。

(会社以外の法人が会社となる場合における資産及び負債の評価)

第十条  次に掲げる法律の規定により会社以外の法人が会社となる場合には、当該会社がその有する資産及び負債に付すべき帳簿価額は、他の法令に別段の定めがある場合を除き、当該会社となる直前に当該法人が当該資産及び負債に付していた帳簿価額とする。
一  農業協同組合法 (昭和二十二年法律第百三十二号)
二  金融商品取引法
三  商品取引所法 (昭和二十五年法律第二百三十九号)
四  中小企業団体の組織に関する法律 (昭和三十二年法律第百八十五号)
五  金融機関の合併及び転換に関する法律 (昭和四十三年法律第八十六号)
六  保険業法