第三編 計算関係書類 第五章 注記表

第三編 計算関係書類

第五章 注記表

(通則)

第百二十八条  注記表(個別注記表及び連結注記表をいう。以下この編において同じ。)については、この章の定めるところによる。

(注記表の区分)

第百二十九条  注記表は、次に掲げる項目に区分して表示しなければならない。

一  継続企業の前提に関する注記
二  重要な会計方針に係る事項(連結注記表にあっては、連結計算書類の作成のための基本となる重要な事項)に関する注記
三  貸借対照表等に関する注記
四  損益計算書に関する注記
五  株主資本等変動計算書(連結注記表にあっては、連結株主資本等変動計算書)に関する注記
六  税効果会計に関する注記
七  リースにより使用する固定資産に関する注記
八  関連当事者との取引に関する注記
九  一株当たり情報に関する注記
十  重要な後発事象に関する注記
十一  連結配当規制適用会社に関する注記
十二  その他の注記

2  次の各号に掲げる注記表には、当該各号に定める項目を表示することを要しない。

一  会計監査人設置会社以外の株式会社(公開会社を除く。)の個別注記表 前項第一号、第三号、第四号及び第六号から第十一号までに掲げる項目
二  会計監査人設置会社以外の公開会社の個別注記表 前項第一号及び第十一号に掲げる項目
三  連結注記表 前項第四号、第六号から第八号まで及び第十一号に掲げる項目
四  持分会社の個別注記表 前項第一号及び第三号から第十一号までに掲げる項目

(注記の方法)

第百三十条  貸借対照表等、損益計算書等又は株主資本等変動計算書等の特定の項目に関連する注記については、その関連を明らかにしなければならない。

(継続企業の前提に関する注記)

第百三十一条  継続企業の前提に関する注記は、当該会社の事業年度の末日において、財務指標の悪化の傾向、重要な債務の不履行等財政破綻の可能性その他会社が将来にわたって事業を継続するとの前提(以下この条において「継続企業の前提」という。)に重要な疑義を抱かせる事象又は状況が存在する場合における次に掲げる事項とする。

一  当該事象又は状況が存在する旨及びその内容
二  継続企業の前提に関する重要な疑義の存在の有無
三  当該事象又は状況を解消又は大幅に改善するための経営者の対応及び経営計画
四  当該重要な疑義の影響の計算書類(連結注記表にあっては、連結計算書類)への反映の有無

(重要な会計方針に係る事項に関する注記)

第百三十二条  重要な会計方針に係る事項に関する注記は、計算書類の作成のために採用している会計処理の原則及び手続並びに表示方法その他計算書類作成のための基本となる事項(次項において「会計方針」という。)であって、次に掲げる事項(重要性の乏しいものを除く。)とする。

一  資産の評価基準及び評価方法
二  固定資産の減価償却の方法
三  引当金の計上基準
四  収益及び費用の計上基準
五  その他計算書類の作成のための基本となる重要な事項

2  会計方針を変更した場合には、次に掲げる事項(重要性の乏しいものを除く。)も重要な会計方針に関する注記とする。

一  会計処理の原則又は手続を変更したときは、その旨、変更の理由及び当該変更が計算書類に与えている影響の内容
二  表示方法を変更したときは、その内容

(連結計算書類の作成のための基本となる重要な事項に関する注記)

第百三十三条  連結計算書類の作成のための基本となる重要な事項に関する注記は、次に掲げる事項とする。この場合において、当該注記は当該各号に掲げる事項に区分しなければならない。

一  連結の範囲に関する次に掲げる事項
 イ 連結子会社の数及び主要な連結子会社の名称
 ロ 非連結子会社がある場合には、次に掲げる事項
(1) 主要な非連結子会社の名称
(2) 非連結子会社を連結の範囲から除いた理由
 ハ 株式会社が議決権の過半数を自己の計算において所有している会社等を子会社としなかったときは、当該会社等の名称及び子会社としなかった理由
 ニ 第九十五条第一項ただし書の規定により連結の範囲から除かれた子会社の財産又は損益に関する事項であって、当該企業集団の財産及び損益の状態の判断に影響を与えると認められる重要なものがあるときは、その内容

二  持分法の適用に関する次に掲げる事項
 イ 持分法を適用した非連結子会社又は関連会社の数及びこれらのうち主要な会社等の名称
 ロ 持分法を適用しない非連結子会社又は関連会社があるときは、次に掲げる事項
(1) 当該非連結子会社又は関連会社のうち主要な会社等の名称
(2) 当該非連結子会社又は関連会社に持分法を適用しない理由
 ハ 当該株式会社が議決権の百分の二十以上、百分の五十以下を自己の計算において所有している会社等を関連会社としなかったときは、当該会社等の名称及び関連会社としなかった理由
 ニ 持分法の適用の手続について特に示す必要があると認められる事項がある場合には、その内容

三  会計処理基準に関する次に掲げる事項
 イ 重要な資産の評価基準及び評価方法
 ロ 重要な減価償却資産の減価償却の方法
 ハ 重要な引当金の計上基準
 ニ その他連結計算書類の作成のための重要な事項

四  連結子会社の資産及び負債の評価に関する事項

2  連結計算書類作成のための基本となる重要な事項を変更した場合には、次に掲げる事項(重要性の乏しいものを除く。)も連結計算書類作成のための基本となる重要な事項に関する注記とする。

一  連結の範囲又は持分法の適用の範囲を変更したときは、その旨及び変更の理由
二  会計処理の原則及び手続を変更したときは、その旨、変更の理由及び当該変更が連結計算書類に与えている影響の内容
三  表示方法を変更したときは、その内容

(貸借対照表等に関する注記)

第百三十四条  貸借対照表等に関する注記は、次に掲げる事項(連結注記表にあっては、第六号から第九号までに掲げる事項を除く。)とする。

一  資産が担保に供されている場合における次に掲げる事項
 イ 資産が担保に供されていること。
 ロ イの資産の内容及びその金額
 ハ 担保に係る債務の金額

二  資産に係る引当金を直接控除した場合における各資産の資産項目別の引当金の金額(一括して注記することが適当な場合にあっては、各資産について流動資産、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産又は繰延資産ごとに一括した引当金の金額)

三  資産に係る減価償却累計額を直接控除した場合における各資産の資産項目別の減価償却累計額(一括して注記することが適当な場合にあっては、各資産について一括した減価償却累計額)

四  資産に係る減損損失累計額を減価償却累計額に合算して減価償却累計額の項目をもって表示した場合にあっては、減価償却累計額に減損損失累計額が含まれている旨

五  保証債務、手形遡求債務、重要な係争事件に係る損害賠償義務その他これらに準ずる債務(負債の部に計上したものを除く。)があるときは、当該債務の内容及び金額

六  関係会社に対する金銭債権又は金銭債務をその金銭債権又は金銭債務が属する項目ごとに、他の金銭債権又は金銭債務と区分して表示していないときは、当該関係会社に対する金銭債権又は金銭債務の当該関係会社に対する金銭債権又は金銭債務が属する項目ごとの金額又は二以上の項目について一括した金額

七  取締役、監査役及び執行役との間の取引による取締役、監査役及び執行役に対する金銭債権があるときは、その総額

八  取締役、監査役及び執行役との間の取引による取締役、監査役及び執行役に対する金銭債務があるときは、その総額

九  当該株式会社の親会社株式の各表示区分別の金額

(損益計算書に関する注記)

第百三十五条  損益計算書に関する注記は、関係会社との営業取引による取引高の総額及び営業取引以外の取引による取引高の総額とする。

(株主資本等変動計算書に関する注記)

第百三十六条  株主資本等変動計算書に関する注記は、次に掲げる事項とする。この場合において、連結注記表を作成する株式会社は、第二号に掲げる事項以外の事項は、省略することができる。

一  当該事業年度の末日における発行済株式の数(種類株式発行会社にあっては、種類ごとの発行済株式の数)

二  当該事業年度の末日における自己株式の数(種類株式発行会社にあっては、種類ごとの自己株式の数)

三  当該事業年度中に行った剰余金の配当(当該事業年度の末日後に行う剰余金の配当のうち、剰余金の配当を受ける者を定めるための法第百二十四条第一項 に規定する基準日が当該事業年度中のものを含む。)に関する次に掲げる事項その他の事項
 イ 配当財産が金銭である場合における当該金銭の総額
 ロ 配当財産が金銭以外の財産である場合における当該財産の帳簿価額(当該剰余金の配当をした日においてその時の時価を付した場合にあっては、当該時価を付した後の帳簿価額)の総額

四  当該事業年度の末日における当該株式会社が発行している新株予約権(法第二百三十六条第一項第四号 の期間の初日が到来していないものを除く。)の目的となる当該株式会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、種類及び種類ごとの数)

(連結株主資本等変動計算書に関する注記)

第百三十七条  連結株主資本等変動計算書に関する注記は、次に掲げる事項とする。

一  当該連結会計年度の末日における当該株式会社の発行済株式の総数(種類株式発行会社にあっては、種類ごとの発行済株式の総数)

二  当該連結会計年度中に行った剰余金の配当(当該連結会計年度の末日後に行う剰余金の配当のうち、剰余金の配当を受ける者を定めるための法第百二十四条第一項 に規定する基準日が当該連結会計年度中のものを含む。)に関する次に掲げる事項その他の事項
 イ 配当財産が金銭である場合における当該金銭の総額
 ロ 配当財産が金銭以外の財産である場合における当該財産の帳簿価額(当該剰余金の配当をした日においてその時の時価を付した場合にあっては、当該時価を付した後の帳簿価額)の総額

三  当該連結会計年度の末日における当該株式会社が発行している新株予約権(法第二百三十六条第一項第四号 の期間の初日が到来していないものを除く。)の目的となる当該株式会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、種類及び種類ごとの数)

(税効果会計に関する注記)

第百三十八条  税効果会計に関する注記は、次に掲げるもの(重要でないものを除く。)の発生の主な原因とする。

一  繰延税金資産(その算定に当たり繰延税金資産から控除された金額がある場合における当該金額を含む。)
二  繰延税金負債

(リースにより使用する固定資産に関する注記)

第百三十九条  リースにより使用する固定資産に関する注記は、ファイナンス・リース取引(リース取引のうち、リース契約に基づく期間の中途において当該リース契約を解除することができないもの又はこれに準ずるもので、リース物件(当該リース契約により使用する物件をいう。以下この条において同じ。)の借主が、当該リース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じる費用等を実質的に負担することとなるものをいう。以下この条において同じ。)の借主である株式会社が当該ファイナンス・リース取引について通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行っていない場合におけるリース物件(固定資産に限る。以下この条において同じ。)に関する事項とする。この場合において、当該リース物件の全部又は一部に係る次に掲げる事項(各リース物件について一括して注記する場合にあっては、一括して注記すべきリース物件に関する事項)を含めることを妨げない。

一  当該事業年度の末日における取得原価相当額
二  当該事業年度の末日における減価償却累計額相当額
三  当該事業年度の末日における未経過リース料相当額
四  前三号に掲げるもののほか、当該リース物件に係る重要な事項

(関連当事者との取引に関する注記)

第百四十条  関連当事者との取引に関する注記は、株式会社と関連当事者との間に取引がある場合における次に掲げる事項であって、重要なものとする。ただし、会計監査人設置会社以外の株式会社にあっては、第四号から第六号まで及び第八号に掲げる事項を省略することができる。

一  当該関連当事者が会社等であるときは、次に掲げる事項
 イ その名称
 ロ 当該関連当事者の総株主の議決権の総数に占める株式会社が有する議決権の数の割合
 ハ 当該株式会社の総株主の議決権の総数に占める当該関連当事者が有する議決権の数の割合

二  当該関連当事者が個人であるときは、次に掲げる事項
 イ その氏名
 ロ 当該株式会社の総株主の議決権の総数に占める当該関連当事者が有する議決権の数の割合

三  当該株式会社と当該関連当事者との関係

四  取引の内容

五  取引の種類別の取引金額

六  取引条件及び取引条件の決定方針

七  取引により発生した債権又は債務に係る主な項目別の当該事業年度の末日における残高

八  取引条件の変更があったときは、その旨、変更の内容及び当該変更が計算書類に与えている影響の内容

2  関連当事者との間の取引のうち次に掲げる取引については、前項に規定する注記を要しない。

一  一般競争入札による取引並びに預金利息及び配当金の受取りその他取引の性質からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引

二  取締役、会計参与、監査役又は執行役(以下この条において「役員」という。)に対する報酬等の給付

三  前二号に掲げる取引のほか、当該取引に係る条件につき市場価格その他当該取引に係る公正な価格を勘案して一般の取引の条件と同様のものを決定していることが明白な場合における当該取引

3  関連当事者との取引に関する注記は、第一項各号に掲げる区分に従い、関連当事者ごとに表示しなければならない。

4  前三項に規定する「関連当事者」とは、次に掲げる者をいう。

一  当該株式会社の親会社

二  当該株式会社の子会社

三  当該株式会社の親会社の子会社(当該親会社が会社でない場合にあっては、当該親会社の子会社に相当するものを含む。)

四  当該株式会社のその他の関係会社(当該株式会社が他の会社の関連会社である場合における当該他の会社をいう。以下この号において同じ。)並びに当該その他の関係会社の親会社(当該その他の関係会社が株式会社でない場合にあっては、親会社に相当するもの)及び子会社(当該その他の関係会社が会社でない場合にあっては、子会社に相当するもの)

五  当該株式会社の関連会社及び当該関連会社の子会社(当該関連会社が会社でない場合にあっては、子会社に相当するもの)

六  当該株式会社の主要株主(自己又は他人の名義をもって当該株式会社の総株主の議決権の総数の百分の十以上の議決権(次に掲げる株式に係る議決権を除く。)を保有している株主をいう。)及びその近親者(二親等内の親族をいう。以下この条において同じ。)
 イ 信託業を営む者が信託財産として所有する株式
 ロ 証券業を営む者が引受け又は売出しを行う業務により取得した株式
 ハ 金融商品取引法第百五十六条の二十四第一項 に規定する業務を営む者がその業務として所有する株式

七  当該株式会社の役員及びその近親者

八  前二号に掲げる者が他の会社等の議決権の過半数を自己の計算において所有している場合における当該会社等及び当該会社等の子会社(当該会社等が会社でない場合にあっては、子会社に相当するもの)

(一株当たり情報に関する注記)

第百四十一条  一株当たり情報に関する注記は、一株当たりの次に掲げる額とする。

一  純資産額
二  当期純利益金額又は当期純損失金額

(重要な後発事象に関する注記)

第百四十二条  個別注記表における重要な後発事象に関する注記は、当該株式会社の事業年度の末日後、当該株式会社の翌事業年度以降の財産又は損益に重要な影響を及ぼす事象が発生した場合における当該事象とする。

2  連結注記表における重要な後発事象に関する注記は、当該株式会社の事業年度の末日後、連結会社並びに持分法が適用される非連結子会社及び関連会社の翌事業年度以降の財産又は損益に重要な影響を及ぼす事象が発生した場合における当該事象とする。ただし、当該株式会社の事業年度の末日と異なる日をその事業年度の末日とする子会社及び関連会社については、当該子会社及び関連会社の事業年度の末日後に発生した場合における当該事象とする。

(連結配当規制適用会社に関する注記)

第百四十三条  連結配当規制適用会社に関する注記は、当該事業年度の末日が最終事業年度の末日となる時後、連結配当規制適用会社となる旨とする。

(その他の注記)
第百四十四条  その他の注記は、第百三十一条から前条までに掲げるもののほか、貸借対照表等、損益計算書等及び株主資本等変動計算書等により会社(連結注記表にあっては、企業集団)の財産又は損益の状態を正確に判断するために必要な事項とする。