第四編 計算関係書類の監査 第三章 会計監査人設置会社における監査

第四編 計算関係書類の監査

第三章 会計監査人設置会社における監査

(計算関係書類の提供)

第百五十三条  計算関係書類を作成した取締役(委員会設置会社にあっては、執行役)は、会計監査人に対して計算関係書類を提供しようとするときは、監査役(委員会設置会社にあっては、監査委員会の指定した監査委員)に対しても計算関係書類を提供しなければならない。

(会計監査報告の内容)

第百五十四条  会計監査人は、計算関係書類を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする会計監査報告を作成しなければならない。

一  会計監査人の監査の方法及びその内容

二  計算関係書類が当該株式会社の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについての意見があるときは、その意見(当該意見が次のイからハまでに掲げる意見である場合にあっては、それぞれ当該イからハまでに定める事項)
 イ 無限定適正意見 監査の対象となった計算関係書類が一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に準拠して、当該計算関係書類に係る期間の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示していると認められる旨
 ロ 除外事項を付した限定付適正意見 監査の対象となった計算関係書類が除外事項を除き一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に準拠して、当該計算関係書類に係る期間の財産及び損益の状況をすべての重要な点において適正に表示していると認められる旨並びに除外事項
 ハ 不適正意見 監査の対象となった計算関係書類が不適正である旨及びその理由

三  前号の意見がないときは、その旨及びその理由

四  追記情報

五  会計監査報告を作成した日

2  前項第四号に規定する「追記情報」とは、次に掲げる事項その他の事項のうち、会計監査人の判断に関して説明を付す必要がある事項又は計算関係書類の内容のうち強調する必要がある事項とする。

一  継続企業の前提に係る事項

二  正当な理由による会計方針の変更

三  重要な偶発事象

四  重要な後発事象

3  当該事業年度に係る計算書類(その附属明細書を含む。以下この項において同じ。)の監査をする時における過年度事項(当該事業年度より前の事業年度に係る計算書類に表示すべき事項をいう。以下この項において同じ。)が会計方針の変更その他の正当な理由により当該事業年度より前の事業年度に係る定時株主総会において承認又は報告をしたものと異なるものに修正されている場合において、当該事業年度に係る計算書類が当該修正後の過年度事項を前提として作成されているときは、会計監査人は、当該修正に係る事項をも、監査しなければならない。臨時計算書類及び連結計算書類についても、同様とする。

(会計監査人設置会社の監査役の監査報告の内容)

第百五十五条  会計監査人設置会社の監査役は、計算関係書類及び会計監査報告(第百五十八条第三項に規定する場合にあっては、計算関係書類)を受領したときは、次に掲げる事項(監査役会設置会社の監査役の監査報告にあっては、第一号から第五号までに掲げる事項)を内容とする監査報告を作成しなければならない。

一  監査役の監査の方法及びその内容

二  会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認めたときは、その旨及びその理由(第百五十八条第三項に規定する場合にあっては、会計監査報告を受領していない旨)

三  重要な後発事象(会計監査報告の内容となっているものを除く。)

四  会計監査人の職務の遂行が適正に実施されることを確保するための体制に関する事項

五  監査のため必要な調査ができなかったときは、その旨及びその理由

六  監査報告を作成した日

(会計監査人設置会社の監査役会の監査報告の内容等)

第百五十六条  会計監査人設置会社の監査役会は、前条の規定により監査役が作成した監査報告(以下この条において「監査役監査報告」という。)に基づき、監査役会の監査報告(以下この条において「監査役会監査報告」という。)を作成しなければならない。

2  監査役会監査報告は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。この場合において、監査役は、当該事項に係る監査役会監査報告の内容が当該事項に係る監査役の監査役監査報告の内容と異なる場合には、当該事項に係る各監査役の監査役監査報告の内容を監査役会監査報告に付記することができる。

一  監査役及び監査役会の監査の方法及びその内容

二  前条第二号から第五号までに掲げる事項

三  監査役会監査報告を作成した日

3  会計監査人設置会社の監査役会が監査役会監査報告を作成する場合には、監査役会は、一回以上、会議を開催する方法又は情報の送受信により同時に意見の交換をすることができる方法により、監査役会監査報告の内容(前項後段の規定による付記を除く。)を審議しなければならない。

(監査委員会の監査報告の内容)

第百五十七条  監査委員会は、計算関係書類及び会計監査報告(次条第三項に規定する場合にあっては、計算関係書類)を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする監査報告を作成しなければならない。この場合において、監査委員は、当該事項に係る監査報告の内容が当該監査委員の意見と異なる場合には、その意見を監査報告に付記することができる。

一  監査委員会の監査の方法及びその内容

二  第百五十五条第二号から第五号までに掲げる事項

三  監査報告を作成した日

2  前項に規定する監査報告の内容(同項後段の規定による付記を除く。)は、監査委員会の決議をもって定めなければならない。

(会計監査報告の通知期限等)

第百五十八条  会計監査人は、次の各号に掲げる会計監査報告の区分に応じ、当該各号に定める日までに、特定監査役及び特定取締役に対し、当該会計監査報告の内容を通知しなければならない。

一  各事業年度に係る計算書類及びその附属明細書についての会計監査報告 次に掲げる日のいずれか遅い日
 イ 当該計算書類の全部を受領した日から四週間を経過した日
 ロ 当該計算書類の附属明細書を受領した日から一週間を経過した日
 ハ 特定取締役、特定監査役及び会計監査人の間で合意により定めた日があるときは、その日

二  臨時計算書類についての会計監査報告 次に掲げる日のいずれか遅い日
 イ 当該臨時計算書類の全部を受領した日から四週間を経過した日
 ロ 特定取締役、特定監査役及び会計監査人の間で合意により定めた日があるときは、その日

三  連結計算書類についての会計監査報告 当該連結計算書類の全部を受領した日から四週間を経過した日(特定取締役、特定監査役及び会計監査人の間で合意により定めた日がある場合にあっては、その日)

2  計算関係書類については、特定監査役及び特定取締役が前項の規定による会計監査報告の内容の通知を受けた日に、会計監査人の監査を受けたものとする。

3  前項の規定にかかわらず、会計監査人が第一項の規定により通知をすべき日までに同項の規定による会計監査報告の内容の通知をしない場合には、当該通知をすべき日に、計算関係書類については、会計監査人の監査を受けたものとみなす。

4  第一項及び第二項に規定する「特定取締役」とは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者(当該株式会社が会計参与設置会社である場合にあっては、当該各号に定める者及び会計参与)をいう(第百六十条において同じ。)。

一  第一項の規定による通知を受ける者を定めた場合 当該通知を受ける者として定められた者

二  前号に掲げる場合以外の場合 監査を受けるべき計算関係書類の作成に関する職務を行った取締役及び執行役

5  第一項及び第二項に規定する「特定監査役」とは、次の各号に掲げる株式会社の区分に応じ、当該各号に定める者とする(以下この章において同じ。)。

一  監査役設置会社(監査役会設置会社を除く。) 次のイからハまでに掲げる場合の区分に応じ、当該イからハまでに定める者
 イ 二以上の監査役が存する場合において、第一項の規定による会計監査報告の内容の通知を受ける監査役を定めたとき 当該通知を受ける監査役として定められた監査役
 ロ 二以上の監査役が存する場合において、第一項の規定による会計監査報告の内容の通知を受ける監査役を定めていないとき すべての監査役
 ハ イ又はロに掲げる場合以外の場合 監査役

二  監査役会設置会社 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める者
 イ 監査役会が第一項の規定による会計監査報告の内容の通知を受ける監査役を定めた場合 当該通知を受ける監査役として定められた監査役
 ロ イに掲げる場合以外の場合 すべての監査役

三  委員会設置会社 監査委員会が第一項の規定による会計監査報告の内容の通知を受ける監査委員として定められた監査委員

(会計監査人の職務の遂行に関する事項)

第百五十九条  会計監査人は、前条第一項の規定による特定監査役に対する会計監査報告の内容の通知に際して、当該会計監査人についての次に掲げる事項(当該事項に係る定めがない場合にあっては、当該事項を定めていない旨)を通知しなければならない。ただし、すべての監査役(委員会設置会社にあっては、監査委員会)が既に当該事項を知っている場合は、この限りでない。

一  独立性に関する事項その他監査に関する法令及び規程の遵守に関する事項

二  監査、監査に準ずる業務及びこれらに関する業務の契約の受任及び継続の方針に関する事項

三  会計監査人の職務の遂行が適正に行われることを確保するための体制に関するその他の事項

(会計監査人設置会社の監査役等の監査報告の通知期限)

第百六十条  会計監査人設置会社の特定監査役は、次の各号に掲げる監査報告の区分に応じ、当該各号に定める日までに、特定取締役及び会計監査人に対し、監査報告(監査役会設置会社にあっては、第百五十六条第一項の規定により作成した監査役会の監査報告に限る。以下この条において同じ。)の内容を通知しなければならない。

一  連結計算書類以外の計算関係書類についての監査報告 次に掲げる日のいずれか遅い日
 イ 会計監査報告を受領した日(第百五十八条第三項に規定する場合にあっては、同項の規定により監査を受けたものとみなされた日。次号において同じ。)から一週間を経過した日
 ロ 特定取締役及び特定監査役の間で合意により定めた日があるときは、その日

二  連結計算書類についての監査報告 会計監査報告を受領した日から一週間を経過した日(特定取締役及び特定監査役の間で合意により定めた日がある場合にあっては、その日)

2  計算関係書類については、特定取締役及び会計監査人が前項の規定による監査報告の内容の通知を受けた日に、監査役(委員会設置会社にあっては、監査委員会)の監査を受けたものとする。

3  前項の規定にかかわらず、特定監査役が第一項の規定により通知をすべき日までに同項の規定による監査報告の内容の通知をしない場合には、当該通知をすべき日に、計算関係書類については、監査役(委員会設置会社にあっては、監査委員会)の監査を受けたものとみなす。