第二編 会計帳簿 第三章 純資産 第一節 株式会社の株主資本

第二編 会計帳簿 第三章 純資産

    第一節 株式会社の株主資本

     第一款 株式の交付等

(通則)

第三十六条  株式会社がその成立後に行う株式の交付(法第四百四十五条第五項 に掲げる行為に際しての株式の交付を除く。)による株式会社の資本金等増加限度額(同条第一項 に規定する株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額をいう。以下この節において同じ。)、その他資本剰余金及びその他利益剰余金の額並びに自己株式対価額(第百七十八条第二項第七号及び第百八十六条第八号ロ並びに法第四百四十六条第二号 並びに第四百六十一条第二項第二号 ロ及び第四号 に規定する自己株式の対価の額をいう。以下この章において同じ。)については、この款の定めるところによる。

2  前項に規定する「成立後に行う株式の交付」とは、株式会社がその成立後において行う次に掲げる場合における株式の発行及び自己株式の処分(第八号、第九号、第十二号、第十四号及び第十五号に掲げる場合にあっては、自己株式の処分)をいう。

一  法第二編第二章第八節 の定めるところにより募集株式を引き受ける者の募集を行う場合
二  取得請求権付株式(法第百八条第二項第五号 ロに掲げる事項についての定めがあるものに限る。以下この章において同じ。)の取得をする場合
三  取得条項付株式(法第百八条第二項第六号 ロに掲げる事項についての定めがあるものに限る。以下この章において同じ。)の取得をする場合
四  全部取得条項付種類株式(当該全部取得条項付種類株式を取得するに際して法第百七十一条第一項第一号 イに掲げる事項についての定めをした場合における当該全部取得条項付種類株式に限る。以下この章において同じ。)の取得をする場合
五  株式無償割当てをする場合
六  新株予約権の行使があった場合
七  取得条項付新株予約権(法第二百三十六条第一項第七号 ニに掲げる事項についての定めがあるものに限る。以下この章において同じ。)の取得をする場合
八  単元未満株式売渡請求を受けた場合
九  株式会社が当該株式会社の株式を取得したことにより生ずる法第四百六十二条第一項 に規定する義務を履行する株主(株主と連帯して義務を負う者を含む。)に対して当該株主から取得した株式に相当する株式を交付すべき場合
十  吸収合併(会社以外の法人との合併後株式会社が存続する合併を含む。)後当該株式会社が存続する場合
十一  吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部の承継をする場合
十二  吸収分割により吸収分割会社(株式会社に限る。)が自己株式を吸収分割承継会社に承継させる場合
十三  株式交換による他の株式会社の発行済株式の全部の取得をする場合
十四  株式交換に際して自己株式を株式交換完全親会社に取得される場合
十五  株式移転に際して自己株式を株式移転設立完全親会社に取得される場合

(募集株式を引き受ける者の募集を行う場合)

第三十七条  法第二編第二章第八節 の定めるところにより募集株式を引き受ける者の募集を行う場合には、資本金等増加限度額は、第一号に掲げる額から第二号に掲げる額を減じて得た額に株式発行割合(当該募集に際して発行する株式の数を当該募集に際して発行する株式の数及び処分する自己株式の数の合計数で除して得た割合をいう。以下この条において同じ。)を乗じて得た額から第三号に掲げる額を減じて得た額(零未満である場合にあっては、零)とする。

一  次に掲げる額の合計額
 イ 法第二百八条第一項 の規定により払込みを受けた金銭(当該金銭がハに規定する財産に該当する場合における当該金銭を除く。)の金額(外国の通貨をもって金銭の払込みを受けた場合にあっては、法第百九十九条第一項第四号 の期日(同号 の期間を定めた場合にあっては、法第二百八条第一項 の規定により払込みを受けた日)の為替相場に基づき算出された金額)
 ロ 法第二百八条第二項 の規定により給付を受けた金銭以外の財産(当該財産がハに規定する財産に該当する場合における当該財産を除く。)の法第百九十九条第一項第四号 の期日(同号 の期間を定めた場合にあっては、法第二百八条第二項 の規定により給付を受けた日)における価額
 ハ 法第二百八条第一項 又は第二項 の規定により払込み又は給付を受けた財産(当該財産の株式会社における帳簿価額として、当該財産の払込み又は給付をした者における当該払込み又は給付の直前の帳簿価額を付すべき場合における当該財産に限る。)の払込み又は給付をした者における当該払込み又は給付の直前の帳簿価額の合計額

二  法第百九十九条第一項第五号 に掲げる事項として募集株式の交付に係る費用の額のうち、株式会社が資本金等増加限度額から減ずるべき額と定めた額

三  イに掲げる額からロに掲げる額を減じて得た額が零以上であるときは、当該額
 イ 当該募集に際して処分する自己株式の帳簿価額
 ロ 第一号に掲げる額から第二号に掲げる額を減じて得た額(零未満である場合にあっては、零)に自己株式処分割合(一から株式発行割合を減じて得た割合をいう。以下この条において同じ。)を乗じて得た額

2  前項に規定する場合には、同項の行為後の次の各号に掲げる額は、同項の行為の直前の当該額に、当該各号に定める額を加算して得た額とする。

一  その他資本剰余金の額 イ及びロに掲げる額の合計額からハに掲げる額を減じて得た額
 イ 前項第一号に掲げる額から同項第二号に掲げる額を減じて得た額に自己株式処分割合を乗じて得た額
 ロ 次に掲げる額のうちいずれか少ない額
(1) 前項第三号に掲げる額
(2) 前項第一号に掲げる額から同項第二号に掲げる額を減じて得た額に株式発行割合を乗じて得た額(零未満である場合にあっては、零)
 ハ 当該募集に際して処分する自己株式の帳簿価額
二  その他利益剰余金の額 前項第一号に掲げる額から同項第二号に掲げる額を減じて得た額が零未満である場合における当該額に株式発行割合を乗じて得た額

3  第一項に規定する場合には、自己株式対価額は、第一項第一号に掲げる額から同項第二号に掲げる額を減じて得た額に自己株式処分割合を乗じて得た額とする。

4  第二項第一号ロに掲げる額は、第百七十八条第二項第七号及び第百八十六条第八号ロ並びに法第四百四十六条第二号 並びに第四百六十一条第二項第二号 ロ及び第四号 の規定の適用については、当該額も、自己株式対価額に含まれるものとみなす。

5  第一項第一号の規定の適用については、募集株式を引き受ける者が出資する金銭以外の財産について法第百九十九条第一項第三号 に掲げる価額と、当該財産の帳簿価額(当該出資に係る資本金及び資本準備金の額を含む。)とが同一の額でなければならないと解してはならない。

(株式の取得に伴う株式の発行等をする場合)

第三十八条  次に掲げる場合には、資本金等増加限度額は、零とする。

一  取得請求権付株式の取得をする場合
二  取得条項付株式の取得をする場合
三  全部取得条項付種類株式の取得をする場合

2  前項各号に掲げる場合には、自己株式対価額は、当該各号に掲げる場合において処分する自己株式の帳簿価額とする。

(株式無償割当てをする場合)

第三十九条  株式無償割当てをする場合には、資本金等増加限度額は、零とする。

2  前項に規定する場合には、株式無償割当て後のその他資本剰余金の額は、株式無償割当ての直前の当該額から当該株式無償割当てに際して処分する自己株式の帳簿価額を減じて得た額とする。

3  第一項に規定する場合には、自己株式対価額は、零とする。

(新株予約権の行使があった場合)

第四十条  新株予約権の行使があった場合には、資本金等増加限度額は、第一号及び第二号に掲げる額の合計額から第三号に掲げる額を減じて得た額に株式発行割合(当該行使に際して発行する株式の数を当該行使に際して発行する株式の数及び処分する自己株式の数の合計数で除して得た割合をいう。以下この条において同じ。)を乗じて得た額から第四号に掲げる額を減じて得た額(零未満である場合にあっては、零)とする。

一  行使時における当該新株予約権の帳簿価額
二  次に掲げる額の合計額
 イ 法第二百八十一条第一項 に規定する場合又は同条第二項 後段に規定する場合におけるこれらの規定により払込みを受けた金銭(当該金銭がハに規定する財産に該当する場合における当該金銭を除く。)の金額(外国の通貨をもって金銭の払込みを受けた場合にあっては、行使時の為替相場に基づき算出された金額)
 ロ 法第二百八十一条第二項 前段の規定により給付を受けた金銭以外の財産(当該財産がハに規定する財産に該当する場合における当該財産を除く。)の行使時の価額
 ハ 法第二百八十一条第一項 又は第二項 の規定により払込み又は給付を受けた財産(当該財産の株式会社における帳簿価額として、当該財産の払込み又は給付をした者における当該払込み又は給付の直前の帳簿価額を付すべき場合における当該財産に限る。)の払込み又は給付をした者における当該払込み又は給付の直前の帳簿価額の合計額
三  法第二百三十六条第一項第五号 に掲げる事項として新株予約権の行使に応じて行う株式の交付に係る費用の額のうち、株式会社が資本金等増加限度額から減ずるべき額と定めた額
四  イに掲げる額からロに掲げる額を減じて得た額が零以上であるときは、当該額
 イ 当該行使に際して処分する自己株式の帳簿価額
 ロ 第一号及び第二号に掲げる額の合計額から第三号に掲げる額を減じて得た額(零未満である場合にあっては、零)に自己株式処分割合(一から株式発行割合を減じて得た割合をいう。以下この条において同じ。)を乗じて得た額

2  前項に規定する場合には、新株予約権の行使後の次の各号に掲げる額は、当該行使の直前の当該額に、当該各号に定める額を加算して得た額とする。

一  その他資本剰余金の額 イ及びロに掲げる額の合計額からハに掲げる額を減じて得た額
 イ 前項第一号及び第二号に掲げる額の合計額から同項第三号に掲げる額を減じて得た額に自己株式処分割合を乗じて得た額
 ロ 次に掲げる額のうちいずれか少ない額
(1) 前項第四号に掲げる額
(2) 前項第一号及び第二号に掲げる額の合計額から同項第三号に掲げる額を減じて得た額に株式発行割合を乗じて得た額(零未満である場合にあっては、零)
 ハ 当該行使に際して処分する自己株式の帳簿価額
二  その他利益剰余金の額 前項第一号及び第二号に掲げる額の合計額から同項第三号に掲げる額を減じて得た額が零未満である場合における当該額に株式発行割合を乗じて得た額

3  第一項に規定する場合には、自己株式対価額は、同項第一号及び第二号に掲げる額の合計額から同項第三号に掲げる額を減じて得た額に自己株式処分割合を乗じて得た額とする。

4  第二項第一号ロに掲げる額は、第百七十八条第二項第七号及び第百八十六条第八号ロ並びに法第四百四十六条第二号 並びに第四百六十一条第二項第二号 ロ及び第四号 の規定の適用については、当該額も、自己株式対価額に含まれるものとみなす。

5  第一項第一号の規定の適用については、新株予約権が募集新株予約権であった場合における当該募集新株予約権についての法第二百三十八条第一項第二号 及び第三号 に掲げる事項と、第一項第一号の帳簿価額とが同一のものでなければならないと解してはならない。

6  第一項第二号の規定の適用については、新株予約権を行使する者が出資する金銭以外の財産について法第二百三十六条第一項第二号 及び第三号 に掲げる価額と、当該財産の帳簿価額(当該出資に係る資本金及び資本準備金の額を含む。)とが同一の額でなければならないと解してはならない。

(取得条項付新株予約権の取得をする場合)

第四十一条  取得条項付新株予約権の取得をする場合には、資本金等増加限度額は、第一号に掲げる額から第二号及び第三号に掲げる額の合計額を減じて得た額に株式発行割合(当該取得に際して発行する株式の数を当該取得に際して発行する株式の数及び処分する自己株式の数の合計数で除して得た割合をいう。以下この条において同じ。)を乗じて得た額から第四号に掲げる額を減じて得た額(零未満である場合にあっては、零)とする。

一  当該取得時における当該取得条項付新株予約権(当該取得条項付新株予約権が新株予約権付社債(これに準ずるものを含む。以下この号において同じ。)に付されたものである場合にあっては、当該新株予約権付社債についての社債(これに準ずるものを含む。)を含む。以下この項において同じ。)の価額
二  当該取得条項付新株予約権の取得と引換えに行う株式の交付に係る費用の額のうち、株式会社が資本金等増加限度額から減ずるべき額と定めた額
三  株式会社が当該取得条項付新株予約権を取得するのと引換えに交付する財産(当該株式会社の株式を除く。)の帳簿価額(当該財産が社債(自己社債を除く。)又は新株予約権(自己新株予約権を除く。)である場合にあっては、会計帳簿に付すべき額)の合計額
四  イに掲げる額からロに掲げる額を減じて得た額が零以上であるときは、当該額
 イ 当該取得に際して処分する自己株式の帳簿価額
 ロ 第一号に掲げる額から第二号及び第三号に掲げる額の合計額を減じて得た額(零未満である場合にあっては、零)に自己株式処分割合(一から株式発行割合を減じて得た割合をいう。以下この条において同じ。)を乗じて得た額

2  前項に規定する場合には、取得条項付新株予約権の取得後の次の各号に掲げる額は、取得条項付新株予約権の取得の直前の当該額に、当該各号に定める額を加算して得た額とする。

一  その他資本剰余金の額 イ及びロに掲げる額の合計額からハに掲げる額を減じて得た額
 イ 前項第一号に掲げる額から同項第二号及び第三号に掲げる額の合計額を減じて得た額に自己株式処分割合を乗じて得た額
 ロ 次に掲げる額のうちいずれか少ない額
(1) 前項第四号に掲げる額
(2) 前項第一号に掲げる額から同項第二号及び第三号に掲げる額の合計額を減じて得た額に株式発行割合を乗じて得た額(零未満である場合にあっては、零)
 ハ 当該取得に際して処分する自己株式の帳簿価額
二  その他利益剰余金の額 前項第一号に掲げる額から同項第二号及び第三号に掲げる額の合計額を減じて得た額が零未満である場合における当該額に株式発行割合を乗じて得た額

3  第一項に規定する場合には、自己株式対価額は、同項第一号に掲げる額から同項第二号及び第三号に掲げる額の合計額を減じて得た額に自己株式処分割合を乗じて得た額とする。

4  第二項第一号ロに掲げる額は、第百七十八条第二項第七号及び第百八十六条第八号ロ並びに法第四百四十六条第二号 並びに第四百六十一条第二項第二号 ロ及び第四号 の規定の適用については、当該額も、自己株式対価額に含まれるものとみなす。

(単元未満株式売渡請求を受けた場合)

第四十二条  単元未満株式売渡請求を受けた場合には、資本金等増加限度額は、零とする。

2  前項に規定する場合には、単元未満株式売渡請求後のその他資本剰余金の額は、第一号及び第二号に掲げる額の合計額から第三号に掲げる額を減じて得た額とする。

一  単元未満株式売渡請求の直前のその他資本剰余金の額
二  当該単元未満株式売渡請求に係る代金の額
三  当該単元未満株式売渡請求に応じて処分する自己株式の帳簿価額

3  第一項に規定する場合には、自己株式対価額は、単元未満株式売渡請求に係る代金の額とする。

(法第四百六十二条第一項 に規定する義務を履行する株主に対して株式を交付すべき場合)

第四十三条  株式会社が当該株式会社の株式を取得したことにより生ずる法第四百六十二条第一項 に規定する義務を履行する株主(株主と連帯して義務を負う者を含む。)に対して当該株主から取得した株式に相当する株式を交付すべき場合には、資本金等増加限度額は、零とする。

2  前項に規定する場合には、同項の行為後のその他資本剰余金の額は、第一号及び第二号に掲げる額の合計額から第三号に掲げる額を減じて得た額とする。

一  前項の行為の直前のその他資本剰余金の額
二  前項の株主(株主と連帯して義務を負う者を含む。)が株式会社に対して支払った金銭の額
三  当該交付に際して処分する自己株式の帳簿価額

3  第一項に規定する場合には、自己株式対価額は、同項の株主(株主と連帯して義務を負う者を含む。)が株式会社に対して支払った金銭の額とする。

(設立時又は成立後の株式の交付に伴う義務が履行された場合)

第四十四条  次に掲げる義務が履行された場合には、株式会社のその他資本剰余金の額は、当該義務の履行により株式会社に対して支払われた額が増加するものとする。

一  法第五十二条第一項 の規定により同項 に定める額の全部又は一部を支払う義務(当該義務を履行した者が同項 の現物出資財産等(法第二十八条第一号 の財産に限る。)を給付した発起人である場合における当該義務に限る。)
二  法第二百十二条第一項 各号に掲げる場合において同項 の規定により当該各号に定める額の全部又は一部を支払う義務
三  法第二百八十五条第一項 各号に掲げる場合において同項 の規定により当該各号に定める額の全部又は一部を支払う義務

     第二款 剰余金の配当

(法第四百四十五条第四項 の規定による準備金の計上)

第四十五条  株式会社が剰余金の配当をする場合には、剰余金の配当後の資本準備金の額は、当該剰余金の配当の直前の資本準備金の額に、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額を加算して得た額とする。

一  当該剰余金の配当をする日における準備金の額が当該日における基準資本金額(資本金の額に四分の一を乗じて得た額をいう。以下この条において同じ。)以上である場合 零
二  当該剰余金の配当をする日における準備金の額が当該日における基準資本金額未満である場合 イ又はロに掲げる額のうちいずれか少ない額に資本剰余金配当割合(次条第一号イに掲げる額を法第四百四十六条第六号 に掲げる額で除して得た割合をいう。)を乗じて得た額
 イ 当該剰余金の配当をする日における準備金計上限度額(基準資本金額から準備金の額を減じて得た額をいう。以下この条において同じ。)
 ロ 法第四百四十六条第六号 に掲げる額に十分の一を乗じて得た額

2  株式会社が剰余金の配当をする場合には、剰余金の配当後の利益準備金の額は、当該剰余金の配当の直前の利益準備金の額に、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額を加算して得た額とする。
一  当該剰余金の配当をする日における準備金の額が当該日における基準資本金額以上である場合 零
二  当該剰余金の配当をする日における準備金の額が当該日における基準資本金額未満である場合 イ又はロに掲げる額のうちいずれか少ない額に利益剰余金配当割合(次条第二号イに掲げる額を法第四百四十六条第六号 に掲げる額で除して得た割合をいう。)を乗じて得た額
 イ 当該剰余金の配当をする日における準備金計上限度額
 ロ 法第四百四十六条第六号 に掲げる額に十分の一を乗じて得た額

(減少する剰余金の額)

第四十六条  株式会社が剰余金の配当をする場合には、剰余金の配当後の次の各号に掲げる額は、当該剰余金の配当の直前の当該額から、当該各号に定める額を減じて得た額とする。

一  その他資本剰余金の額 次に掲げる額の合計額
 イ 法第四百四十六条第六号 に掲げる額のうち、株式会社がその他資本剰余金から減ずるべき額と定めた額
 ロ 前条第一項第二号に掲げるときは、同号に定める額
二  その他利益剰余金の額 次に掲げる額の合計額
 イ 法第四百四十六条第六号 に掲げる額のうち、株式会社がその他利益剰余金から減ずるべき額と定めた額
 ロ 前条第二項第二号に掲げるときは、同号に定める額

     第三款 自己株式

第四十七条  株式会社が当該株式会社の株式を取得する場合には、その取得価額を、増加すべき自己株式の額とする。

2  株式会社が自己株式の処分又は消却をする場合には、その帳簿価額を、減少すべき自己株式の額とする。

3  株式会社が自己株式の消却をする場合には、自己株式の消却後のその他資本剰余金の額は、当該自己株式の消却の直前の当該額から当該消却する自己株式の帳簿価額を減じて得た額とする。

     第四款 株式会社の資本金等の額の増減

(資本金の額)

第四十八条  株式会社の資本金の額は、第一款及び第四節に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が増加するものとする。

一  法第四百四十八条 の規定により準備金(資本準備金に限る。)の額を減少する場合(同条第一項第二号 に掲げる事項を定めた場合に限る。) 同号 の資本金とする額に相当する額
二  法第四百五十条 の規定により剰余金の額を減少する場合 同条第一項第一号 の減少する剰余金の額(その他資本剰余金に係る額に限る。)に相当する額

2  株式会社の資本金の額は、法第四百四十七条 の規定による場合に限り、同条第一項第一号 の額に相当する額が減少するものとする。この場合において、次に掲げる場合には、資本金の額が減少するものと解してはならない。

一  新株の発行の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
二  自己株式の処分の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
三  会社の吸収合併、吸収分割又は株式交換の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
四  設立時発行株式又は募集株式の引受けに係る意思表示その他の株式の発行又は自己株式の処分に係る意思表示が無効とされ、又は取り消された場合

(資本準備金の額)

第四十九条  株式会社の資本準備金の額は、第一款及び第二款並びに第四節に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が増加するものとする。

一  法第四百四十七条 の規定により資本金の額を減少する場合(同条第一項第二号 に掲げる事項を定めた場合に限る。) 同号 の準備金とする額に相当する額
二  法第四百五十一条 の規定により剰余金の額を減少する場合 同条第一項第一号 の額(その他資本剰余金に係る額に限る。)に相当する額

2  株式会社の資本準備金の額は、法第四百四十八条 の規定による場合に限り、同条第一項第一号 の額(資本準備金に係る額に限る。)に相当する額が減少するものとする。この場合においては、前条第二項後段の規定を準用する。

(その他資本剰余金の額)

第五十条  株式会社のその他資本剰余金の額は、第一款及び第四節に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が増加するものとする。

一  法第四百四十七条 の規定により資本金の額を減少する場合 同条第一項第一号 の額(同項第二号 に規定する場合にあっては、当該額から同号 の額を減じて得た額)に相当する額
二  法第四百四十八条 の規定により準備金の額を減少する場合 同条第一項第一号 の額(資本準備金に係る額に限り、同項第二号 に規定する場合にあっては、当該額から資本準備金についての同号 の額を減じて得た額)に相当する額

三  前二号に掲げるもののほか、その他資本剰余金の額を増加すべき場合 その他資本剰余金の額を増加する額として適切な額

2  株式会社のその他資本剰余金の額は、前三款及び第四節に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が減少するものとする。

一  法第四百五十条 の規定により剰余金の額を減少する場合 同条第一項第一号 の額(その他資本剰余金に係る額に限る。)に相当する額
二  法第四百五十一条 の規定により剰余金の額を減少する場合 同条第一項第一号 の額(その他資本剰余金に係る額に限る。)に相当する額
三  前二号に掲げるもののほか、その他資本剰余金の額を減少すべき場合 その他資本剰余金の額を減少する額として適切な額

3  前項、前三款及び第四節の場合において、これらの規定により減少すべきその他資本剰余金の額の全部又は一部を減少させないこととすることが必要、かつ、適当であるときは、これらの規定にかかわらず、減少させないことが適当な額については、その他資本剰余金の額を減少させないことができる。

(利益準備金の額)

第五十一条  株式会社の利益準備金の額は、第二款及び第四節に定めるところのほか、法第四百五十一条 の規定により剰余金の額を減少する場合に限り、同条第一項第一号 の額(その他利益剰余金に係る額に限る。)に相当する額が増加するものとする。

2  株式会社の利益準備金の額は、法第四百四十八条 の規定による場合に限り、同条第一項第一号 の額(利益準備金に係る額に限る。)に相当する額が減少するものとする。

(その他利益剰余金の額)

第五十二条  株式会社のその他利益剰余金の額は、第四節に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が増加するものとする。

一  法第四百四十八条 の規定により準備金の額を減少する場合 同条第一項第一号 の額(利益準備金に係る額に限る。)に相当する額
二  当期純利益金額が生じた場合 当該当期純利益金額
三  前二号に掲げるもののほか、その他利益剰余金の額を増加すべき場合 その他利益剰余金の額を増加する額として適切な額

2  株式会社のその他利益剰余金の額は、次項、前三款及び第四節に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が減少するものとする。

一  法第四百五十一条 の規定により剰余金の額を減少する場合 同条第一項第一号 の額(その他利益剰余金に係る額に限る。)に相当する額
二  当期純損失金額が生じた場合 当該当期純損失金額
三  前二号に掲げるもののほか、その他利益剰余金の額を減少すべき場合 その他利益剰余金の額を減少する額として適切な額

3  第五十条第三項の規定により減少すべきその他資本剰余金の額を減少させない額がある場合には、当該減少させない額に対応する額をその他利益剰余金から減少させるものとする。